「性別」の代わりに「ジェンダー」のオプション多種多様


2015年10月10日記

 (このエッセイの下に2023年5月18日に調べた新しい情報が報告されています。)

私達の日常生活には、「性別」を記入する必要がある場面が多数あります。

 

最近記入した国勢調査でも、春に更新したパスポートや免許証などのような

公式な身分証明には欠かせませんし、

スーパーのカードや入会フォームなどに記入する際にも

必ずと言っていいほど「性別」を選択する欄がありますよね。

 

「性別」を問われて選択記入を求められることは

何かを申し込む際には、必須事項として一生ついてまわりそうです。

 

つい最近次の記事を読んで知ったのですが、

facebook(以後FB)のプロフィールは、今やかつての"性別"に取って代わって、

"ジェンダー"という分類名になっており、さらに色々設定出来るようになっているのです。

http://www.telegraph.co.uk/technology/facebook/10930654/Facebooks-71-gender-options-come-to-UK-users.html

これはイギリスの"The Telegraph"という新聞に

レポーターの という人が昨年(2014年)6月に書いた記事ですが、

 

さらに調べてみたら、FBでは昨年(2014年)2月に初めて、この選択肢を50種加えたそうです。

こちらはネット雑誌 Wired Japanによる日本語の記事です。

 

http://wired.jp/2014/02/17/facebook-gender/

 

ユーザーが選択できる性別として、主なものとしては、次のようなものが挙げられます:

 

Androgynous 両性的あるいは中性的な人

Bigender 男女どちらのジェンダーを持ち、両者の間で切り替えつつ暮らしている人

Gender Fluid 男女の間で揺れ動いている人

Gender Variant 既存のジェンダーにあてはまらない人

Gender Questioning 自身の性に関して未確認の人

Trans Female 生物学的な性と自分が認識する性が一致しない人で、自身を女性として認識する人

Trans Male 同上の分類で、自身を男性として認識する人

Trans Person 上述の分類で、どちらとも言わない人(トランスの"人")

Transsexual いわゆる性同一性障害の人

Pangender 既存の分類にあてはまらない人

 

 それから1年後の今年(2015年)の2月には、FBはそれまでの58種では足らず

各自が自分のアイデンティティをカスタマイズ出来るようにしたとのこと。

FBは「みなさまが自分自身のアイデンティティをよりよく表現するための助けになれば」と

このような選択肢を設けたというコメントを発表しています。配慮ですね。

 

私もSNSは、FBとmixiをやっています。 Facebookは一応、外国人の友だちも多いので、

自分のページで使用する言語はアメリカ英語に設定してあります。

もちろん、投稿はほとんど日本語でやってしまっていますが。

アメリカ英語をページの使用言語に設定してある人は

これらのジェンダーの選択肢があるというので、

 

試しに自分のを見てみたら、

この記事のようにMale(男)、Female(女)の下にCustom(カスタ ム)という項目があり、

自分のアイデンティティをタイムラインに公表することも出来る設定がありました。

Customに設定すると、その下に空欄が現れ、

自らのアイデンティティをチョイスするために文字を入力すると

その文字から始まる様々なチョイスのドロップダウンメニューが現れます。

このように、アメリカ英語のCustomには、58種ものチョイスがあり、

イギリスでは最近、なんと71種になったそうです。

 

ちなみにFBの使用言語をイギリス英語に変えてみたけど、
こちらはまだMaleとFemaleしかありませんでした、、、

きっと、イギリスにあるPCではCustomが出てくるんでしょうけど。

 

今やジェンダーは男女だけではなく、様々な有り様が存在し

それを主張する人びとが多くなったため、

FBでは、代名詞も好きなのが設定できるようになっています。

 

「Custom」を選択すると、その下に

Female, Male, Neutral(中性)と3つのチョイスがあり、

ここで代名詞を「he」か 「she」にするか、

あるいは、性別を特定しない「they」にするかを選ぶことができるようです。

theyっていうのは、普通は三人称複数なのですが、

LGBT(同性 愛、両性愛、性同一性障害など)の人びとの間では、

彼らの代名詞として単数形で用いられています。

それにしても、The Telegraph記事の下のほうに記載されている71もの種類を見てみたら、本当に驚き!

こんなに沢山あるなんて、、、このまま増え続けて行ったら100にも200にもなりそうで、

ドロップダウンも永遠に、、、ということにもなりそうですね。

でも、その内に種類も定まってはくるのかもしれませんが、

こういう人たちのあり様が社会に認められてきたという表れでしょうね。

 

ところで、Google+では、Male, Femaleの次にOtherという分類があるそうです。

ま、Googleもそのうち、もっと多くのチョイスが選択出来るようになるのでしょうけど、

しかし、 日本のSNSの最大手mixiはといえば、

まだ「性別」の中に「男」と「女」しかないようです。

 

それに、FBを念のために日本語に設定してみたら、

残念ながら「性別」という分類名で「男」と「女」しかありませんでした。

FBは、なぜ日本語でも対応しないんでしょうか?

セクシャリティのアイデンティティは、アメリカやイギリスだけではなく

日本にだって多種多様にあるでしょう?

 

FBの日本語版とmixiが、いつこのテーマに向き合うのか、興味深いところです。

2023年5月18日記

私はSNSは主にfacebookとmixiをやっていますが、殆ど毎日何か発信しているのはFBで、mixiはここ数年、本当に数ヶ月に1回しか発信していませんでした。

本日、久しぶりにこのエッセイを読み返していて、ジェンダーの選択を再度、確認してみたところ、いつの間にか、mixiも選択肢が増えており、「男性」「女性」「未回答」「その他」の4種類になっていました。「未回答」というのが日本らしい表現ですね。

 

FBの日本語版も、8年前に上記のエッセイを書いた時には性別は「男」と「女」しかなかったのが、今では、「女性」「男性」「ノンバイナリー」「その他のオプション」の4種類になっており、「その他のオプション」を選択すると、アメリカ英語の選択肢の「Custom」と同様に、自由に記入できるようになっていました。

 

その下に次のような「代名詞の選択」というチョイスがあり、これは英語表示の場合に適用されるようです。

 

前回に調べてから7年半ほど経ったわけですが、その間に、日本でもジェンダーやセクシュアリティーに対する認識が広がってきたことがうかがえますね。私は大学の工学部で受講生の8割以上が男子学生という「ことばとジェンダー」という授業を教えていますが、そう言えば、ここ5年ほど学生たちの認識もかなり変化してきたことを実感します。

それでも、ジェンダーの思い込みやことばの中に潜むジェンダーに関する無意識や無関心はまだまだあり、これからはもっと若い世代に対する教育の必要性を感じている今日この頃です。


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コメント: 6
  • #1

    金平糖 (日曜日, 25 10月 2015 00:45)

    ジェンダーという性別分類、初めて知りました。
    アメリカやイギリスで、そんなにたくさんの種類が出来たということは、
    驚きですが、自分にぴったりの表現がない場合は、
    好きな表現を作れるということでしょうか。

  • #2

    水本光美 (水曜日, 16 12月 2015 22:19)

    金平糖さん、

    メッセージへの返信が遅れて大変申し訳ありませんでした。

    >自分にぴったりの表現がない場合は好きな表現を作れるということでしょうか。

    はい、そのようですね。因みに、customのところに「none」と入れてみたら、
    そのようなチョイスは用意されたリストの中にはないらしく、
    「none」という文字を記入することができました。

    さすがに何十種類もあるのは、選ぶ方も大変だと思いますが、
    今は積極的に彼らの生き方を応援しようとするFBの姿勢が伺えますね。:)

  • #3

    金平糖 (土曜日, 19 3月 2016 19:22)

    水本様、

    ご返信ありがとうございました。

    さすがFacebookですね。このような考え方が日本でももっと広く受け入れられるようになると、いいですね。次のジェンダー
    エッセイを楽しみにしています!

  • #4

    水本光美 (金曜日, 01 6月 2018 05:57)

    金平糖 さん、

    コメントを頂いておきながら、ご返信が大変遅れて申し訳ありません。

    このエッセイを書いたのは2年半前のことですが、
    その当時は日本語のfacebookでは「性別:男・女」だけでした。
    でも、その後、2017年後半に確認した際には、
    日本語版でも「カスタム」という区分から自分の好みのジェンダーを
    選択出来るようになっていました。やっと英語版に準じたようです。

    このことについては、次の港区男女平等参画センターの季刊誌「オアシス」に
    ジェンダーエッセイを書いたときに触れました。

    http://www.minatolibra.jp/newsletter/oasis/oasis-date/2018021400066/file_contents/OASIS_55.pdf

    やっとですが、大きな進歩です!

    ただ、日本語による老舗SNSのmixiでは、
    未だに「性別:男・女」だけです、、、
    他の日本語の大手Amebloは、本日確認したら、
    「性別:男・女・その他」となっていました。
    「その他」を追加したところは、まず前進ですね。

    まだまだ、一般からの声が足りないようですが、
    mixiも、今後、この件について配慮するのを期待しています。

  • #5

    めい (金曜日, 27 9月 2019 08:55)

    日本でもさまざまな性の表し方が受け入れられ、主流になってほしいと思っています。

  • #6

    水本光美 (金曜日, 27 9月 2019 18:34)

    めい さん、
    コメントありがとうございます! 本当にそうですよね。
    このエッセイを書いてもう1年以上過ぎましたが、日本の老舗mixiはいまだに性別は「男・女」のみで残念です。

水本光美(2023/5/18)

このページのコメント欄の上に本日の日付でその後のmixiとfacebook日本語版のポジティブな変化について書いておきましたが、mixiでは現在では「未回答」と「その他」が増え、facebook日本語版では、アメリカ版のように「その他のオプション」を自分で追記できるようになっていました。また、英語表示の場合の代名詞の選択も出来るように進化しています。


中性代名詞:Them等

女性代名詞:her等

男性代名詞」him等


日本でもやっと重い腰を上げ、いわゆるマイノリティの人々のニーズに応えようとする姿勢が見られることは喜ばしいことですね。